2012年4月24日火曜日

アメリカを一等国にしているのは、優秀な外国人


アメリカの科学・技術を世界のトップレベルにしている二つ目の理由は、優秀な外国人がアメリカに集まりやすくなっていることだ。アメリカの大学や研究所を見ると、そこで研究に従事している外国人の多さに驚かされる。一見して分かるのは、中国人の多さである。次に韓国やインドの研究者も多い。医学系では日本人も目立つ。正確には統計資料を見ないと分からないが、アメリカの大学や研究所のレベルが高いのは、アメリカ人が特別に優秀だからなのではなく、優秀な外国人が多数アメリカの研究機関に来ているからではないかと思う。

確かに第2次世界大戦以後、アメリカは科学・技術の研究環境として世界で最も魅力的な場所だった。このため多くの優秀な研究者がアメリカに集まる潮流が出来上がった。現在もその名残で、多くの優秀な外国人がアメリカに来ている。しかしこの傾向がこれからも続いて行くかどうかは分からない。アメリカの経済は疲弊している。したがって、特に直近の利益を生み出すかどうか分からないサイエンスに資金を当て続ける余力が、これからもアメリカにあり続けるとは到底思えない。アメリカの経済が疲弊している最大の原因は、工業製品の品質の低さであり、さらにその原因は、一般的なアメリカ人の「イージー、すなわち雑な仕事ぶり」に根ざしている。イージーな性質は、現代アメリカ人の一般的気質なので、これが突然変化することは到底考えられない。したがってアメリカ経済はこれから益々疲弊して行くことになるだろう。それはまたサイエンスを支える資金の枯渇を招き、結果として優秀な外国人はアメリカに来なくなるのではないかと思う。

しかし見渡すところ次の世界の中心地はまだどこにも定まっていないようだ。経済状況から言えば、中国の可能性が高いが、現在の政治体制が続く限り、中国ではサイエンスは発展しない。現在でも科学・技術の世界の中心がアメリカにとどまっているのは、次の行き場がないからに他ならない。中東に起こったような革命的な民主化が中国で成立すれば、一気に世界の研究者は経済状況の良好な中国になだれ込み、アメリカの時代は終焉することになるだろう。