2012年3月31日土曜日

Flash Mob

息子の通っている学校では、3月の最終週にスクール・ミュージカルを上演する。12月にオーディションを行い、1月から3月まで、放課後毎日練習をして本番を迎える。先日、シアトル市内のショッピングモールで、このミュージカルのプロモーションとして、フラッシュ・モブが行なわれた。

アメリカのアパート契約

3月30日

アメリカのアパートは、1年目はまる12ヶ月の契約になるところがほとんどだ。日本だと、転居をする1ヶ月以上前に連絡をすれば、いつでも契約解除をすることができるが、アメリカの場合は、そうはいかない。最初の契約時に、12ヶ月分の契約をさせられてしまうので、たとえ入居してから1ヶ月で転居しても、12ヶ月分の家賃を請求される。また、まる12ヶ月ということは、4月途中から入居した場合、次の年の4月末日までの契約となる。

しかし2年目からは、1月単位の契約が可能になる。こういう情報がネット上に出ていないので、2年目も、1年単位の契約になったら困るなと思っていたのだが、そういうことにはならず助かった。

私は8月末に帰国予定なので、4ヶ月の契約更新をした。1年単位の更新より、1月の家賃が割高になるが、それは仕方がない。300ドルほど高くなってしまったが、法外なほど高くなったわけではないので、これも助かった。面白いのは、3ヶ月延長した場合よりも、4ヶ月延長した場合の方が、微妙に高くなっているところだ。これはおそらく8月の引越シーズンにも、まだ住んでいることになるからかもしれない。アメリカは9月から新年度が始まるので、8月が引越しシーズンなのだ。

1年目が完全に拘束されてしまうのが少し窮屈な感じだが、アメリカの場合は、礼金や契約手数料、契約更新料がないので、日本の賃貸より割安だと思う。敷金はあるが、500ドル程度で、日本人の場合、部屋を傷めたりしないので、実際にはほぼ全額が戻ってくる。それから引越し時のばかげたクリーニング代などもない。

1ヶ月単位の更新料金

2012年3月11日日曜日

確定申告

我われのように研究者ビザで滞在し、日本の収入しかない場合でも、アメリカでは確定申告の必要がある。ネット検索すると色々と不正確な情報が多く、困ったのだが、ワシントン州の場合は、州の所得税がないため、8843という書類を出すだけでよかった。記述も非常に簡単だ。

日本から在外研究で来ているような研究者は、この申告を行なっていない場合がほとんどではないかと思うが、Social Security Numberを取得している場合は、申告に関する記録が残るので、将来ビザを改めて申告するような場合のことを考えると、申告は行なっておいた方がよい。

また、研究者(J)ビザの保有者の場合、2年間は非居住者non-resident alienになるので、例え収入があっても非課税扱いとなって、源泉徴収された分が還付されるようだ。しかし、例えば子どもを将来、州立大学などに行かせたいと考えている場合は、確定申告で、non-residentを主張せず、敢えてresidentとして税金を払うようにしていれば、将来の学費が非常に安くなる。ほとんどの州は、3年間residentであったことを要求するので、この実績を作るのは簡単ではないが、何とか出来る方法もあるような気がする。

(続報)
3月10日にcertified mailで発送したところ、3人分無事に届いていることが確認できた。大切な文書は、certified mailが安心だ。

2012年3月9日金曜日

ビザの更新

2月17日
バンクーバー総領事館で私自身のJ1と、妻と子どものJ2 の更新をした。手続き自体は、拍子抜けするほど簡単だったが、手続き後の受け取りで、10日間も待たされ、時間の無駄と滞在費がかさんで、大変な思いをした。

(面接の予約)
2ヶ月ほど前にインターネットの予約ページから9時30分の面接予約を行った。少し前まではカナダに入国してから銀行振り込みで手数料を支払う必要があったようだが、現在は、ネット上でクレジットカード決済ができる。一人140ドルも取られる。面接の予約は、たぶん前日までなら、変更可能で、恐らく何回でも変更できる。私は最初10時の予約をしたが、早い方がよいと思い、9時30分に変更した。

SD-160の入力内容は、昨年とほとんど同じだったが、中学から大学院修了までの学歴を入力する欄が増えていた。10年前にビザを取った時の記録を利用したので、それほど面倒ではなかった。

(事前に用意した書類)
  • ワシントン大学からの招聘状
  • 大学(日本)からの身分証明書
  • 大学からの給与証明書
  • Citibankの残高証明
  • 学位記のコピー
  • 婚姻証明書(2011年10月から日本の大使館では戸籍謄本の提出を要求しているため。シアトルの領事館で発行。)
  • 子どもの出生証明書
しかし、これらの書類は一つも提示を求められなかった。

(領事館に近くのホテル)
前日の16日にシアトルから車で、領事館の近くのDaysInn Hotelに入った。領事館までの距離は徒歩で2分だった。万が一、申請内容に修正箇所が生じた場合を考えて、出来る限り領事館に近いホテルにした。修正が必要な場合は、すぐにホテルに戻り、PCで変更するつもりだった。一昨年、東京の大使館で申請した際、一箇所修正が必要になり、大使館近くのKinkosでPCとプリンタを借りて修正したが、大使館からKinkosまでの距離が結構あり、しんどかった。バンクーバーの領事館の近くにはStaplesのビジネスサービスがあった。修正点が生じた場合は、ここを利用してもよいかもしれない。ただし、バンクーバーで修正が必要な場合に、東京の大使館のように、一度外に出て修正し、その日のうちに再申請できるかどうかは分からない。バンクーバー領事館の混雑ぶりを見ると、実際は不可能かもしれない。

(外での待ち時間は2時間)
電子申請のホームページには、面接時間の20分以上前には、領事館に行かないように書かれていたので、9時にホテルを出て、領事館に向かった。領事館には9時5分ごろ着いた。9時30分が最初の面接時間のはずだったが、既に長蛇の列が出来ていた。建物のセキュリティを通過したのはが11時ごろだった。最初にパスポート、DS-2019、Confirmationの確認だけのカウンターがあり、3種の書類だけを提出した。この時、番号札を渡された。10分ほどで書類を返され、さらに自分の番号だ電光掲示板で表示されるまで15分ほど待った。自分の番号が表示されたので、エレベーターで20階に上がった。

(面接は非常に簡単)
20階が領事の面接カウンターになっていた。最初に妻と私が10本指の指紋を取られた。息子の指紋は取られなかった。20分ほど待つと、再度番号が電光掲示板に表示されたので、指定されたカウンターに向かった。朝の列に並んでいたとき、話しかけられたヒゲの男性が面接官だった。名前の確認と、大学で何を研究しているかなどの、雑談程度の簡単な会話をして、面接は終了した。パスポート、DS-2019、Confirmation以外の書類は一つも見せるように要求されなかった。3 busyness daysでビザは登録したDHLのオフィスに届けられると言われて、手続きは終了した。

(受け取りが最大の問題)
領事館の手続き自体は何の問題もなく、簡単に終わったのだが、その後のパスポートとビザの受け取りで時間がかかり、非常に困った。実際にビザの添付されたパスポートを受け取ったのは、2月27日(月)の朝で、面接の日から10日目という遅さだった。最大の原因は、領事館の仕事の遅さと、DHLが土・日に営業をしていないというばかげた理由だ。実は家内の分だけは23日(木)の18時にメールで知らせが届き、24日(金)の朝に受け取ることができた。ところが私と息子の分は、木曜日中に出来上がっていなかったらしく、金曜日には受け取ることができなかった。DHLの店員の話では、領事館には1日に1回、午後6時にしかパスポートを受け取り行っていないため、金曜日に受け取った分は、月曜日の朝まで渡せないという、日本の宅急便では考えられないようなシステムなのだ。

最終的には日本に一時帰国することなくビザの更新ができたが、受け取での時間のロスを考えると、日曜日の夜に移動して、月曜日の朝に面接予約をし、最速で水曜日、最悪でも金曜日には受け取れるような予定を組むのがベストではないかと思う。

2月27日
(国境の通過)
アメリカ側からカナダ側に出たときには、非常にスムーズで、ただパスポートにカナダ入国のスタンプが押されただけだったが、カナダからアメリカへの再入国には、多少時間がかかった。まず車のゲートまでが混雑のために約40分かかり、ここでビザをカナダで更新したことを伝えると、車から降り、別棟の入国検査窓口で手続きを行うように指示された。検査窓口に行ってみると、前に20~30人ほどの人が審査待ちの列を作っていた。検査官は2・3人で、50分ほど仕事をすると休みに出て行ってしまうという仕事ぶりのため、ここで自分たちの番がくるまで、さらに1時間半ほど待たされた。

審査自体は非常に簡単だったが、DS-2019へのサインやスタンプが、これまでインターネット上に出ていた情報と少し違っていた。そもそも私のDS-2019には、在カナダ総領事館副領事のサインがあったのだが、家族の分には、サインやスタンプがなかった。私の分にもスタンプはなかった。昨年、日本の大使館で申請したときには、全員にスタンプとサインがあったので、書類の処理の仕方が機関によって違うようだった。

国境の検査官は、家族のDS-2019にのみスタンプとサインをし、私の分には何もせず返された。インターネット上の情報では、私の場合もスタンプが必要だとされていたので、検査官に、本当に私の書類にはスタンプが必要ないのかと念を押して訊ねたが、必要ないと言うのだった。またI-94も、そのまま返されたので、私については、カナダに出国した記録が残り、いつアメリカに戻ったのかの記録がないことになってしまった。たぶんこれは検査官の間違いだと思うが、一度自分が正しいと言ってしまうと、相当な身分の上司からでも指摘されない限り検査官がミスを認めることはないので、そのまま書類を受け取り帰路についた。恐らくアメリカに居る限り問題になることはないと思うが、再度カナダに行き、またアメリカに入ってくるとき問題になる可能がある。

(続報)
I-94が更新されず古いままになっていることが非常に気になったので、後日、大学の海外交流担当の窓口で確かめたのだが、われわれのI-94には特定の期限はなく、D/Sとなっているので、付随するDS-2019が正しく更新されていれば大丈夫だということだった。若干、心配な点もあるが、仮に将来問題が出た時には、不正に滞在しているわけではないので、移民局に修正願いなどを出して対応することにした。それにしてもアメリカというところは、日本ではとうてい考えられないほど、様々な手続きの処理が、窓口の人間によってまちまちな、いい加減な国だと思う。この国がどうして世界一の国なのか、ますます分からなくなった。

なお、今回色々と調べてみて分かったのだが、ビザは国境の通過許可証であって、滞在許可ではないようだ。したがって、ビザが切れてもI-94にD/Sと記載され、有効なDS-2019がある限り、合法的にアメリカに滞在できるらしい。少なくとも学生ビザに関する政府機関の説明にはそのように書かれている。したがって、滞在期間中にアメリカ国外に出ない限り、ビザの更新は必要ないようだ。
http://travel.state.gov/visa/temp/types/types_1268.html#14

結果的にビザの更新はでき、アメリカに再入国できたが、何らかの手違いでビザの申請段階で大きな問題が生じると、パスポートをアメリカ領事館に取られたままになるので、カナダから出国できないことになる。このリスクを考えると、やはり通常通り、日本に戻ってビザの更新を行なう方が懸命だと思う。特に家族同伴の 場合はリスクが高過ぎると言うべきかもしれない。

理科

アメリカでは、教科書は学校から貸し出され、学年が終わると返却することになっている。そして次の年の同学年がその教科書をまた使う。そのため、教科書には絶対に書き込みをしてはならないとされる。息子の学校の理科の先生は、このシステムが学習の効果を妨げると考えているらしく、毎回授業で扱う教科書のページをコピーして渡してくれる。そして毎回、渡されたページを読み、重要な部分をラインマークし、設問のプリントに答えるという内容の宿題がだされる。この宿題のサポートもそれなりに大変だが、この先生の授業は、実験なども丁寧に行い、とても良いようだ。また、理科の内容は、日本で中学受験を経験した子どもにとっては、全て知っていることなので、プリントに細かい要約を付ける必要もなく、私にとって社会ほどの負担もかからない。

教科書を読んで感じたのだが、理科の英語は他の教科よりもはるかに平易だった。サイエンスの世界では英語が共通語になっているが、サイエンスの英語が社会科学などと比較して平易なのが、このことと関係しているかも知れない。

さらに、理科ばかりでなく、社会でも言えることだが、アメリカの教科書では「高度な科学的内容」を出来るだけあいまいにしないようにする姿勢が見られる。例えば理科では、「重さ」と「質量」の違いなどに踏み込んで解説しており、社会では、考古学的史料の年代決定として、放射性炭素測定法などに言及している。子どもたちがどれほど適切に理解しているか疑問な点もあるが、本質的な点をあいまいにしない態度が、アメリカのサイエンスを支えていると言えるかもしれない。これほどレベルの低い数学をやりながら、サイエンスではアメリカが今でも世界のトップを走っている理由がこういうところにあるのかも知れない。

理科の副読本
簡潔で非常に良い内容です。

社会

サポートの手間が最もかかったのが、Social Study(社会)だ。

最初の1ヶ月は、My History Projectという、生まれてからこれまでの自分の歴史と、社会の歴史をイラストや写真を入れてポスターに書き、プレゼンテーションボードに貼り付けていくという内容で、英語のハンディがありながらも、絵が得意だった息子には、学校の生活に慣れるため非常によい学習だった。

My History Project

しかし2ヶ月目からは500ページもある教科書を使う授業が始まった。教科書自体の内容は、地理と歴史が一体になったもので、非常によいものだと思う。しかしこの教科書を自分で読んで、各節ごとの設問に答えてくるという宿題が毎日出る。この宿題のための準備をしておくのが非常に大変だった。1回分は5~6ページなのだが、英語の問題から、息子一人ではとてもこなせる内容ではない。そのため、私が予め各段落ごとの要約をページの余白に日本語で書き込んでやり、設問の回答例を用意してやったのだが、このために毎日3時間くらいかかるのである。そして何と、授業では、宿題の答え合わせをするだけで、本文の内容を解説するようなことはないようなのだ。教師にとってこれほど楽で、生徒にはこれほど負担のかかる授業のやり方はない!ただし息子にとっては、英語のハンディがあるため、予め準備した内容を発表したり、聞いたりする程度で、十分英語の練習にはなっているのかも知れない。

なお、この社会の教科書は非常に良い内容なのだが、これを授業で消化するためには、毎日3時間程度の時間が与えられないと無理ではないかと思う。数年前、高校生用の生物に関するアメリカの教科書が日本語に翻訳され、優れた内容だと紹介されていたが、確かにアメリカの教科書の内容は非常に優れていると思う。ただしこの内容が本当に消化されているかというと大きな疑問符が付く。どれほど優れた教師であっても、毎日1時間程度の時間では、「素晴らし過ぎる教科書」の内容を授業で消化していくことは不可能ではないかと思われる。

社会の教科書に私がコメントを付けたもの。
全ページにこれをやるのは非常に大変だ!