2012年5月25日金曜日

iPad版MendeleyをPogoplugと連携させる

私は仕事に必要な文献をPDFにしてPogoplugというパーソナルクラウドに入れている。

Pogoplug
理系の研究者は、書籍ではなく、主に論文を使用するので、文献のデータ量はそれほど多くならないと思うが、我われ文系の研究者は主に書籍を利用するので、PDFにした場合のデータ量が非常に大きい。シアトルに来るとき、現地で必要になると思った文献を300冊ほどPDF化したところ、30GBを越えてしまった。これほどデータ量が増えてしまうと、よほど経済的な余裕がない限り、DropboxやSugerSyncなどの有料クラウドにおいて置くことはできない。かと言ってローカルなPCに記録させたままでは、外出時に文献が必要になった時、すぐに閲覧できずに不便だ。そこで私は、Pogoplugというパーソナルクラウドの端末に1TBのハードディスクをつないで、いつでも文献が閲覧できる状態にしている。

PCだけでこの文献を利用している場合は、ファイル名に適当なタグ情報をつけておけば、SuperFinderなどの検索ソフトを使って、簡単に目的の文献を見つけることができるのだが、iPadからもPogoplug上の文献を利用しようとすると途端に面倒になる。iPad用のPogoplugアプリには検索機能がないためだ。(以前のバージョンには簡易検索機能があったのだが、最近のバージョンアップで何故か検索機能がなくなってしまった!?)そこでこの機会に、以前から気になっていた文献データベースソフトを導入してみることにした。


  • Mendely vs. Papers

文献データベースソフトには、よく知られているものが数種類あるが、人気を二分しているMendeleyとPapersを試しに使用してみた。その結果、文系には圧倒的にMendeleyが使い安いという結論になった。そもそも文系の研究者は、書誌情報をPCで管理したりしない人がほとんどで、受容が少ないためか、MendeleyもPapersも基本的には理系の学術論文情報を整理しやすいように設計されている。しかもPapersの場合は、Amazon.co.jpなどの日本語サイトには対応していない。これでは我われ日本人の文系研究者には、全く利用価値がないと言わざるを得ない。その点、MendeleyはAmazon.co.jpやCiNiiなどの日本語データベースにも対応している。

Mendeley上の文献情報


  • MendeleyとPogoplugの連携

ただしMendeleyにも幾つかの問題がある。最も大きな問題は、iPad版のMendeleyで目的の文献を閲覧するためには、Mendeley社のクラウド上に文献を置いておく必要があることだ。Mendeleyのクラウドは500MBまで無料で利用できる。しかし私のように30GBを越えるような文献を所有している場合は、月に20ドル以上かかってしまう。こんな料金を支払える余裕もないし、積りもない。ネットで検索をしてみると、私のようにデータ量の多い場合、iPad上でのMendeleyは、単に文献のデータベースとして利用することに割り切り、Pogoplugなどに置いた文献データは、Pogoplugアプリから手作業でダウンロードしている情報しか得られなかった。しかしこれではそもそもMendeleyを利用する意味がない。何とかしてMendeleyで検索した情報から文献データにアクセスしたい。

さいわいMendeleyには、URL情報を追加できる機能があった。またPogoplugにも文献へのリンクを取得する機能がある。そこでPogoplugのリンク情報をMendeleyの文献データに加えてみたところ、リンクは上手く機能し目的のPDFをMendeley上で表示することができた。しかし、Mendeley上ではPDFに注釈などが付けられない。また、困ったことにGoodreaderなどの外部アプリに送る機能も実装されていない。これでは文献を取りあえず見るだけで、利用する価値が半減してしまう。Mendeleyのアプリが将来アップデートされれば、外部アプリとの連携機能が強化されるかも知れないが、されないかもしれない。Mendeley社のクラウドに文献データを予め置いた場合には、iPadにダウンロードした後、外部アプリに送る機能があるので、Pogoplugなどのサードパーティークラウドに置いたデータを便利に利用できる機能は、実装されない可能性の方が大である。しかしあきらめきれない。何とかならないものかと考えたら、一つ方法があった。

iPad版Mendeleyで
Pogoplugのリンクを開いたところ

Pogoplugに置いてある文献データへのリンクをMendeley上で表示させると、PDFのアイコンとともにTwitterやGoogle+へのリンクアイコンが表示される。私はこれを使ってPogoplug上のリンク情報を取得し、Goodreaderから直接Pogoplugのデータをダウンロードすることにした。TwitterやGoogle+を経由する分、一手間増えるが、全体の利便性を思えば、大して面倒なことではない。これでどこにいても、iPadから必要な文献を利用できることになった。しかもMendeleyで整理した文献情報は、そのまま論文を執筆する際に利用できるので、正に一石二鳥の上首尾となった。

2012年5月14日月曜日

SecureZIP Readerが神


これまでだいぶ長い間、かなり重要なメモでも私はEvernoteに入れていた。Evernoteはネットワークで情報が同期されるため、どこにいても必要な時に情報にアクセスできるためだ。しかし、Evernoteではページ単位でパスワードや暗号化の処理ができないため、セキュリティがずっと気になっていた。

Evernoteは便利だがセキュリティに問題が…

ファイルを暗号化するようなソフトは多い。だから暗号化したノートファイルをDropboxなどに置いておけば、どこでもファイルにアクセスできて、セキュリティも保たれる。しかし問題はiPadだった。iPadに対応した暗号の復号化アプリは非常に少ない。ところが最近SecureZIPというファイルの圧縮・暗号化ソフトで有名なPKWARE社からiPad用の閲覧アプリSecureZIP Readerが公開された。しかも無料なのがさらに嬉しい。

iOSに対応したAES-256の復号化アプリ

SecureZIP ReaderはAES-256という最先端の暗号の復号化に対応している。これを使えば、7Zipなどを使って暗号化したファイルをDropboxに置き、必要な時にiPadからも暗号化したファイルを閲覧することができる。SecureZIP Readerは正に神アプリなのだ。(ついでに7Zipのポータブル版をDropboxに入れておけば、PCからはどこにいてもファイルを複合化することもできる。)

この記事を読んでDropboxを導入してみようと思った方、次のアドレスからDropboxをインストールして頂くと、あなたと私に500MBずつの増量がつきます。
http://db.tt/LbGwxa5x

7ZipはAES-256の暗号化に対応したアーカイブソフト
現状ではSecureZIP Readerは日本語テキストに対応していないため、日本語のファイルを表示させようとすると文字バケしてしまう。だから私はSecureZIP Readerで復号化したファイルをGoodreaderに送って閲覧している。この点だけが難点だが、実際に暗号化したファイルにアクセスするのはそれほど頻繁ではないので、閲覧手段が用意されただけでも良しとしよう。日本ではエクセルソフトがSecureZIP Readerのライセンスを取得したようなので、そのうち日本語にも対応することだろう。何よりも、セキュリティを保持しながら重要な情報にいつでもアクセスできる方法の整ったことが私は嬉しい。